龍馬は背中で私は腹で

龍馬は背毛

背中に生えた毛が馬のタテガミのようだから!という理由で「この子は龍馬!」と姉の乙女に名付けられた坂本龍馬。小学生の頃に『お〜い!竜馬』の劇をした際に知った逸話であるが、どうやら本当に背中に毛が生えていたらしいというのを『Yahoo!知恵袋』で見かけた。身体的特徴をもとに命名するのはいかがなものかと思うし、そこから展開される発想がなければ「背毛(せなげと読んでみる)が馬みたいだったから、以上」で名付けられた龍馬もモヤモヤしてしまうのではないだろうか。多分「龍」の方に深い意味があって、馬はおまけなのかもしれない。

私は腹毛

一方で私はというと、背中ではなく腹に毛が生えている。竜馬のような生来のものではない。妊娠してからふと腹を眺めていると産毛の域を超えた毛が生えていた。頭の中の西城秀樹がギャラドゥと歌っているけれども、ギャランドゥはヘソ下の毛であるのに対し、私の毛はヘソ上から正中線に沿って上に伸びている。「腹毛(はらげと読んでみる)」はどうやら妊娠中のホルモンの増加やメラニン色素の沈着によって色濃く生えてくるようだ。

毛深さにショックを受けるわけでもなく、実家で飼っていた猫のことを思い出した。人間を怖がることを知らず、必ずや己は可愛がられるだろうという絶対の自信をもち、媚の権化であった茶トラ猫の小太郎だ。

お腹山脈

人を見つけては駆け寄り転がり、ひと撫ですると両手足と腹をグイーンと伸ばしてのけぞるような形になる。長く伸びた真っ白なお腹を見ていると綺麗な毛の流れができている。正中線が山脈になるように左右から毛がそびえ立っていた。毛繕いではよく舐められているものの、人には滅多に触られることのないお腹山脈の毛はふわふわで愛らしい。そんなたやすく急所を晒すもんじゃないよと嗜めながらお腹山脈を撫でると一層反るので、今度は背中を撫でて猫背に丸めてあげるのだ。

自分の丸く突き出した腹に生える腹毛を見ながら、猫のような動物に近づけるならこれもまた愛しいのかもしれない。願わくばお腹山脈のように綺麗に生え揃ってもらいたいものだが、現状はただただ腹毛が濃い人間の域を超えない。